あくび指南所 2号店

ほとんど買い物メモです。

太陽の塔の胎内に入る

太陽の塔に入ってきた。
大阪万博をリアルタイムで知らない私ら以下の世代だと知らないかもしれないが、太陽の塔は万博当時、中に生命の樹という生物の進化をたどる展示があって、エレベーターで上の方まで上がり、腕から外の大屋根に出るような仕掛けになっていた。万博閉幕以降、塔の中は長いこと立ち入り禁止だったが、近年、若干の整備をして限定公開を行っていたわけ。
でもその公開も今月末をもっていったん終了し、次の公開は万博40周年の2010年の予定とのこと。この機会になんとしてでも見ておかなければ、ということで今回の公開に応募し、無事中に入ることができた。


塔の後ろ側にある入り口から入ると、中はいくつかの工事用ランプがあるだけでかなり暗い。地面からしんしんと這い上がってくる冷気と若干の黴臭さ。
原色の枝を持つ生命の樹がはるか上の方まで、ゆるい螺旋を描きながらそびえたち、枝のあちらこちらに三葉虫や恐竜、猿人などの模型が取り付けられている。当時はもっとたくさんの模型があったそうだが、すでに多くの模型が落ちたり、安全確保のために外されており、残っている模型も一部は壊れている。生命の樹の上の方は塔内の暗闇へまぎれ、かすかにしか見えない。
塔の内壁は、炎を表したという赤いうろこ状の板がみっしりと取り付けられている。エスカレーターやエレベーターも見えるが、もちろん今は動いていない。老朽化のため、階段で上ることもできない。
中で、ガイドの話を聴き、当時の映像を見る。今は芝生となっている太陽の塔の前のスペース、この地下に当時は地下展示があり、そこから太陽の塔に入っていった。地下展示は、世界各地で祭礼等に使われている仮面がディスプレイされており(仮面は現在みんぱくに展示されている)、祈りなどの音声が流されていたという。かなりおどろおどろしい。子供が見たら泣くんじゃないだろうか。
そして、地下展示を抜けると太陽の塔内の原色の世界に入るというわけだ。おどろおどろしくて、うさんくさい、いかにも岡本太郎的世界。
万博のテーマ館のメイン展示に岡本太郎という、いわば異物を配したということが面白い。


塔内の模型や土台などは、すでにかなり老朽化している。我々のいる1階フロアには、粘菌類のような原始生物の模型があったが、その土台のコンクリートはところどころ崩れている。36年という歳月の重さを感じる。
太陽の塔が、外側は時間の流れに無縁とも思える超然とした姿を見せている一方で、中には着実に時が流れ人知れず朽ち果てつつあるというコントラストが印象に残った。


その他、雑感。

  • ビデオは塔の外で見せてほしい。中では、中でしか見れないものを楽しみたい。黙ってテレビ見てると寒いし。
  • 双眼鏡を持っていって正解。
  • 右腕にあるという出口はどこだろう?下からでは分からなかった。
  • 「地底の太陽」を紛失したヤツは許せん!責任者出てこい!(人生幸朗かっ)