あくび指南所 2号店

ほとんど買い物メモです。

NODA・MAP「パイパー」@渋谷・シアターコクーン

結局4回見てしまった。(1/8、1/27、2/18、2/22)


今回の芝居のテーマは「野菜を食べよう!」である。
いやそんなことないか。でも、みんな野菜を食べよう!


まじめな話、いろいろ重いテーマが重なりあって、簡単には語れない。歴史、食、人口、環境。
ダイモス母とフォボスが廃墟をさまようあたりから先は、どうしても泣けてくる。ダイモス母が人間を食おうとして食えないシーン、観客もまったく物音を立てず、大きな劇場全体が見事に無音でシーンとする。満員の観衆を黙らせる脚本の力に恐れ入る。しかし、オレは息を飲みすぎるとむせるということを知った……(ごめんなさい)


絶望的な世界を描きながら、最後にペールギュントをもどってこさせ、荒野に花を咲かせたところに、作家・野田秀樹自身の止むに止まれぬ思いを感じた。最後に希望を書かずにはいられないほど、この社会は絶望的なのだと。正直、ちょっとベタな展開だと思わないでもないが、それでもその希望はとても美しい。


役者の感想。
宮澤りえ、こんなに良かったっけ?と思うくらい良かった。声に力がある。4歳の声がかわいい。
橋爪功、いい。過剰な演技がうさんくさくてよい。
役者・野田秀樹は、出演少なめでちょっと物足りない。
コンドルズやアンサンブルのダンスの体の動きが素敵だ。リワインドして地下にハケていくところなど、そのすべるような動きには感心する。


最後に、印象に残った台詞。
「火星の家庭じゃ稼いだ金で家計に加勢だ」
「大分の古手川みたいなものか」
「使い尽くして、使い尽くして、生き尽くすしかない」