あくび指南所 2号店

ほとんど買い物メモです。

読書

「孤児たちの城 〜ジョセフィン・ベーカーと囚われた13人」高山文彦

孤児たちの城―ジョセフィン・ベーカーと囚われた13人作者: 高山文彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/09メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (6件) を見る誰もがみんな狂っている。ジャン・クロードは狂っている。アキオも多分…

「オレもサッカー『海外組』になるんだ!!!!」吉崎エイジーニョ ぴあ

おちゃらけエッセーくらいの意識で読み始めたのだが、実は結構深い。 10部リーグでも、海外組は海外組。悩まされる問題は、トッププロと一緒(レベルは低いけど)。オレだって海外組だというエイジーニョの叫びは、決して軽くない。 スポーツに限らず、ビジ…

「13」古川日出男 角川文庫

天才は、デビュー時から天才だと思った。 独特な文章のリズム。強烈な色彩と音楽。宗教的な高揚感。 ページから文章世界が立ち上がってきて、吸い込まれていくような感覚にとらわれる。 素晴らしい。 久しぶりに、このタグ使ったな。簡単でもたまには書くか。

「ガッザの涙」ポール・ガスコイン自伝

読んでからだいぶたってしまったが、お勧めの1冊。 悲しき天才ポール・ガスコイン。あまりに繊細すぎて、自分や他人を傷つけてしまう。分かっていても繰り返してしまう切なさ。泣ける。ガッザの涙―フットボーラーポール・ガスコイン自伝作者: ポール・ガスコ…

「愛犬王 平岩米吉伝」片野ゆか

「愛犬王」というちょっとユーモラスなタイトルが、この米吉という人をよく表しているように思う。犬に捧げる愛情は尋常じゃないが、社会や人間に対して攻撃的なわけではなく、好奇心の塊でどことなくユーモラスなところがある。やってることは確かに「奇人…

「人見絹枝 〜炎のスプリンター」日本図書センター

日本女子陸上の先駆者、人見絹枝の自伝。 日本女子初のオリンピックメダリスト(アムステルダムオリンピック 陸上女子800m。日本女子陸上が次にメダルを取るのは、64年後の有森まで待たなければならなかった)、第2回万国女子オリンピック個人優勝、公認世界…

「絵はがきにされた少年」藤原章生 集英社

(だいぶ前に読み終わった本ですが...) 毎日新聞記者の著者がアフリカ特派員としての取材経験を基に書いたエッセイ。 アフリカを救えなどという力みや、搾取や貧困といった一般論への単純化への違和感を抱えながらの取材。取材を通して現実を知るほど語るべ…

『パリは燃えているか?』ラリー・コリンズ、ドミニク・ラピエール著 ハヤカワ・ノンフィクション・マスターピース

第二次世界大戦、パリ解放までの数日間を多数のエピソードで描くノンフィクション。 フォン・コルテッツ将軍の苦悩、ヒトラーの狂気、ドゴールの豪胆、パリ市民の悲劇と歓喜、それぞれが印象的なシーンで彩られている。 ドイツに護送される夫を追って自転車…

完全敵地 加藤久

1985年、メキシコワールドカップの予選を当時の代表主将、カトキュウさんみずからが振り返る。 当時の記憶はおぼろげにしかない。私はまだサッカーファンではなかった(直前のロス五輪予選をTVで見た記憶はあるのだが)。 日本代表を取り巻く環境は、いまか…

「さもなくば喪服を 闘牛士エル・コルドベスの肖像」ラリー・コリンズ、ドミニク・ラピエール 志摩隆訳

凄いノンフィクションを読んだ。 激しい内戦と極貧。成り上がるには闘牛しかないと誓ったマノロ・ベニテスのぎらぎらとした魂。そして、マドリードでのインプルシボとの極限の戦い。 どのページをめくっても、アンダルシアのぎらついた太陽のような、心に灼…

「下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)」三浦展 光文社新書

ちょっと売れてるらしいので、話のネタとしては面白いかも。でも真剣に読むほどの本ではない。 つーか、この著者と問題意識が共有できません、私。結局、経済的成功に重きを置くかどうかという価値観の違いで住み分けられているわけで、そのこと自体がそれほ…

「凍」沢木耕太郎 新潮社

クライマー山野井泰史を描いたノンフィクション。 最近の沢木の作品のなかでは最良の一つではないか。ノンフィクションとフィクションの狭間を行くような文章、山野井に付かず離れずの視点が巧みで、作品の世界に引き込まれる。 ギャチュンカンでの、山野井…

「巨大バッタの奇跡」室井尚 アートン

横浜トリエンナーレ2001でひときわ目立っていた、バッタ。コンチネンタルホテルの壁面に逆立ちしていたあのバッタには、こんなすごい内幕があった。 クライマックスは、トリエンナーレ開幕直前から閉幕までの学生達の頑張り。それは、ちょっとした青春ドラマ…

「フランサフリック」ヴェルシャヴ、フランソワ=グザヴィエ 緑風出版

旧宗主国として、アフリカと強い結びつきを維持しているフランス。そのフランスの新植民地主義的アフリカ政策を告発する書。 そのフランスのフランス=アフリカ関係は一部のアフリカ専門家集団に牛耳られており、彼らは目的のためには要人の暗殺、クーデター…

「自転車チャンピオン」ルイゾン・ボベ 未知谷

50年代にツール・ド・フランスを3度制した著者が、自転車のチャンピオンになるための条件を豊富な体験談を交えて記した著。 臨場感のある筆致が素晴らしい。彼の走ったレースを、プロトンの中の会話や彼の頭の中の考えを含めて、読者が追体験できる。非常に…

「戦場の現在 〜戦闘地域の最前線をゆく」加藤健二郎 集英社新書

"戦場マニア"による、最前線の体験記。 マニアだけに基本的にはノンポリシー。政治的主張ありきではなく、リアルな戦場を軽いタッチで書いている。メディアのニュースに載る戦場の描写と現実との意外な差があること、戦争犠牲者は多い方が軍にもマスコミにも…

「升田幸三物語」東公平 角川文庫

私は、将棋は小学生のときにちょっと遊んだくらいで、全然詳しくないのだが、将棋の本は好きだ。 升田幸三は、断片的に知っている風貌や言動からの印象で無頼派のイメージを持っていたのだが、本書から受ける印象はちょっと違う。確かに風変わりなところはあ…

「ツール 伝説の峠」安家達也著 未知谷

ツール・ド・フランスで文字通り山場となる山岳ステージ。ツールの大勝負の舞台となった数々の峠、そしてそこで記憶に残る走りをした山岳スペシャリストにスポットを当てた本が登場した。 戦前の変速機もないころのレースから、コッピやメルクスなどのビッグ…

「聞き書 宮澤喜一回顧録」御厨貴・中村隆英編 岩波書店

宮澤元首相が10回のインタビューで、終戦直後から総理大臣時代までの思い出、内幕を、驚くほど正直に語っている。 終戦直後からつい最近まで、官僚・政治家として国政の最前線にいた貴重な人物であるだけに、その証言はとても貴重。特に終戦直後のGHQや吉田…

「ポストコロニアリズム」本橋哲也 岩波新書

フランツ・ファノン、エドワード・サイード、ガヤトリ・スピヴァクの思想の紹介を中心としたポスト・コロニアリズム紹介。 3人の思想の紹介はわかりやすく、既読で分かったような気になっていたファノンについても、改めて理解を深めることが出来た。 植民地…

「強いだけじゃ勝てない〜関東学院大学・春口廣」松瀬学

早稲田の清宮が口にしていたように、「なぜハルさんの本がないのか不思議」だった春口監督の、カントーの本がやっと出た。 近年、関東の有力校の監督は比較的短期間で交替する傾向があるが、その中で唯一長期政権を誇り、かつての明治の北島、日体大の綿井(…

ハイ・フィデリティ ニック・ホーンビィ著 森田義信訳 新潮文庫

音楽オタクの30男が恋愛についてグダグダと悩む話。 オタクやマニアを自認するような人間は,相手の趣味でその人となりを判断してしまうことがあるに違いない。××のファンとは付き合えないよ,みたいにね。でもそんな生き方は交友関係を狭めるし,それだけで…

スターリングラード〜運命の攻囲戦 1942-1943 アントニー・ビーヴァー著 堀たほ子訳 朝日新聞社

530ページの大著,本格派戦史ノンフィクション。過酷このうえないスターリングラードの戦いを緻密かつ生々しく描いている。戦地の兵士が故郷に向けて書いた手紙(その多くは届かなかった)や死んだ兵士の傍らで発見された遺書や日記を通して,激戦の描写を人…

武器なき祈り フェラ・クティ,アフロ・ビートという名の闘い 板垣真理子 三五館

帯に書いてある「フェラと著者との魂の往復書簡」という惹句とか夢枕に立ったとか,なんとなく怪しげな印象を持ちつつも,日本語でのフェラ・クティの本なんてそうそう出るものではないので買った。内容もやや怪しげだった。 夢枕に立ったフェラが語りかける…

「柄本明『絶望』の授業」 NHK「課外授業ようこそ先輩」制作グループ編 KTC中央出版

有名人が小学生相手にそれぞれのテーマで課外授業を行うというNHKの番組の書籍化。 小学生に「絶望」というテーマで芝居を作らせてしまうという発想がまず普通じゃない。 死や孤独,失恋などを盛り込んだ小学生達のシナリオに対し,不幸なことと絶望は違う,…

「ペンギンの憂鬱」アンドレイ・クルコフ 新潮社

ロシア小説。 1匹のペンギンと同居する小説家。まだ生きている人物の死亡記事を書く不思議な仕事。不可解な事件と不思議な人物が織りなす奇妙なファンタジー。 ペンギンのミーシャがいい味を出している。何も言わず,主人公に静かに寄り添い,孤独な者同士の…

「いとしこいし漫才の世界」喜味こいし・戸田学編 岩波書店

いとしこいし漫才の速記が14本も載っているのが何よりうれしい。昔のはちょっと分からないが,名作・交通巡査をはじめとする後期の速記を読むと,御両人のあの口調や間を思い出して微笑を禁じえない。嫁ハンねた,段階ボケなど,そうそうこれが好きだったん…

翻訳文学ブックカフェ 新元良一 本の雑誌社

柴田元幸,青山南ら,活躍中の名翻訳家11人とのインタビュー集。翻訳のスタイル,仕事のやり方などなど,それぞれの個性が出ていて面白い。そしてみんな楽しそうである。翻訳という仕事がほんとに楽しそうに見えて,自分でもしてみたくなる。 それにしても小…

スポーツを「読む」 重松清 集英社新書

小説家重松がスポーツノンフィクションの名作を紹介。 王道山際淳司,沢木耕太郎から,浅草キッド,ホイチョイ・プロダクションまで。どんなライターに対する紹介も愛がある。スポーツノンフィクション入門としてGood。

エンデュアランス号漂流記 アーネスト・シャクルトン 中公文庫

1914年,初の南極大陸横断を目指しながら,氷海で遭難,漂流したシャクルトン探検隊。絶望的な状況から1名の死者もなく奇跡的な生還を果たしたその探検を隊長自らが報告する。 いつ割れるともしれない浮氷に乗っての漂流というひどい状況に陥っても,冷静さ…